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ご挨拶

倉林正彦

臨床について

循環器内科では、患者さんに信頼される医療を提供することを第一目標に掲げ、以下のようなチーム医療を行っています。
虚血性心疾患の診療では、急性心筋梗塞や狭心症に対し、経皮的冠動脈形成術やステント移植術を積極的に行っております。2019年はPCI 185例、急性冠症候群は47例でした。診断カテーテル513例の中で、FFRやiFRにより、機能的虚血評価を24%に行いました。重症例に対しては、2019年は、28例にV-A ECMOを装着しました。また、冠動脈CTや心筋シンチグラフィ―により、非侵襲的方法で冠動脈評価を行っております。また、動脈硬化は全身疾患であることを基本的な治療姿勢として適切な治療を実施しております。また、慢性閉塞性病変や透析患者における複雑で高度な冠動脈病変や末梢動脈病変に対して、バイパス手術を選択するか、あるいはカテーテル治療を行うかの選択も循環器外科との密接な連携によって、最適な治療法を選択しています。
不整脈診療においては、アブレーション治療、心臓ペースメーカーや植込み型除細動器(ICD)の植え込み術(皮下植込み型のS-ICDが増加しています)を安全に積極的に行っております。高周波エネルギーにて心筋の一部を焼灼する高周波アブレーション治療の他、発作性心房細動に対しては、冷凍焼灼(クライオアブレーション)もおこなっており、良好な成績を上げています。Electro-anatomicalマッピング法(CARTO system)、「SOUNDSTAR」およびCARTOとCTとの融合画像の再構成法にて、より精度の高い、安全なアブレーションを実施しています。また、Brugada症候群、QT延長症候群、拡張型心筋症さらには虚血によって惹起される重症心室性不整脈例や心室細動蘇生例には、診断や治療法の決定のためホルター心電図、加算平均心電図、電気生理学的検査を行い、心臓突然死予防に最も確実であるICDによる治療を行っております。さらに、患者様への説明と同意が得られる場合には、末梢血白血球にて遺伝子検査を行い、遺伝子変異を同定することにより、重症不整脈の根本的な病態生理やリスクを解明する臨床研究を展開しています。こうした不整脈疾患の遺伝子診断の実績で、当施設は国内でも有数の施設となっております。
当施設では肺高血圧症の最先端治療を積極的に行っています。エンドセリン受容体拮抗薬、PDE5阻害薬、プロスタサイクリンの内服、そしてエポプロステノール持続静注を行って良好な成果を上げています。さらに、当施設では、循環器疾患患者が高頻度に合併する睡眠呼吸障害に対しても実績をもっています。持続陽圧呼吸装置の適応を考え、心不全患者に適切に用いており、すでに、8年間以上にわたる臨床成績の蓄積があり、有効性や安全性について国内外で学会発表や論文として発表しております。

研究について

(1)臨床研究

明日の医学に貢献することは、大学病院のミッションの一つです。不整脈領域においては、金古准教授を中心に2016年にCirculationに発表した「Atypical Fast-Slow Atrioventricular Nodal Reentrant Tachycardia」についての研究を発展させ、世界的にも注目されております。中島講師を中とする次世代シークエンサーを用いた不整脈の遺伝子解析も、多くの施設と連繋して大きな研究となっています。また、小板橋病院講師による腫瘍循環器および先天性心疾患の研究、高間病院講師による肺高血圧および睡眠時無呼吸症候群の研究は外部資金も獲得でき、着実に成果を上げています。2019年に3年間の米国メイヨークリニックからの留学から帰国した小保方助教は、HFpEF(左室駆出率の維持された心不全)の臨床研究で多くの実績を持っています。そして、運動負荷心エコーや右心カテーテル検査、あるいはCT検査を取り入れた新たな視点の研究を精力的におこなっています。また、石橋医員はこれまでの当教室の心臓核医学領域の研究を継承し、さらに発展させるべく、
臨床の現場にフィードバックされる研究が私たちの研究のモチ−ベーションです。

(2)基礎研究とトランスレーショナル研究

生体の新たな仕組みを明らかにし、その発見を疾患の診断や治療に応用することは基礎医学研究の醍醐味です。循環器内科の基礎研究とトランスレーショナル研究は、心臓・血管の分子医学、生理学や生化学、あるいは、エネルギー代謝などが対象です。
特に、磯特任准教授は、心臓エネルギー代謝の研究で多くの成果を上げており、基礎研究部門の発展を牽引しています。現在は、脂肪酸代謝と腎臓の研究で興味あるデータを見いだしています。

教育について

大学病院の使命の一つは、教育です。人は宝であるという理念のもと、若い人の教育に重点を置いています。循環器内科は、医学部学生の教育や研修医の教育に傾注し、若い医師に充実した臨床修練を積んでもらう環境を提供することを絶えず心がけています。内科専門医制度が開始され、循環器専門医の取得や学位の取得に時間がかかるようになっています。今後も、将来の日本や群馬の医療、大学の医療を牽引する人材育成のため、さらに教育に力を注いでいきます。

おわりに

循環器内科は、臨床、研究、教育の各方面で大きな社会貢献ができる施設を目指しています。今後ともご支援、ご協力をどうぞ宜しくお願い申し上げます。