肺高血圧・睡眠呼吸障害 部門
1.部門の説明
肺高血圧症・睡眠呼吸障害部門について、ご説明いたします。
【肺高血圧症】肺動脈圧が上昇することによってさまざまな症状をきたす疾患です。以前は治療法も限られ非常に予後の悪い病気でしたが、近年様々な研究が進み、診断だけでなく治療方法も飛躍的に進歩し、患者様の生命予後もよくなってきております。一方で、肺高血圧症を早期の段階で発見し治療することは、いまだ持って難しく、当科に紹介された段階でかなり進行しているケースも多く認めるのが実情です。肺高血圧症は結合組織病、血液疾患、肺疾患、心臓疾患など様々な疾患に合併することも多く、中には早期に発見治療しないと予後不良となる場合もあります。当科では、実地臨床医の先生、他科の先生がたと連携し、肺高血圧症の早期発見、早期治療ができるよう頑張ってまいります。群馬県内で肺高血圧症の最重症例に対するエポプロステノール持続静注治療を初期より実施している唯一の医療機関であり、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に関してもカテーテルによる治療を行える数少ない施設の一つです。
【睡眠呼吸障害】一般的睡眠呼吸障害というと、肥満体系やメタボリック症候群と関連があると考えれていますが、睡眠呼吸障害は心不全などの循環器疾患とも密接な関連を持っております。当施設の研究結果から、心不全で入院した患者様の85%以上で何らかの睡眠呼吸障害を有していることが分かっています。当科では一般的な薬物治療を行ったうえで、積極的にポリソムノグラフィー(PSG)による睡眠呼吸障害の評価を行っております。その結果を踏まえ陽圧換気療法を行うことで、睡眠呼吸障害の治療のみならず心不全の治療を行っています。昨今発表されたSERVE-HF試験ではAdaptive servo ventilation (ASV)治療が心不全には有害である旨報告されました。一方本邦では数多くのASVが心不全に対して有効であることが報告されており、本施設でも同様の結果が出ています。このような混沌とした状況の中ですが、現在でも日本循環器学会で発表されたステートメントを遵守し、心不全に対するASV治療を行っており、現在までに在宅でASV治療を行われた方が200名を超えており、非常に良好な結果も得ております。
2.所属メンバー
高間典明
3.可能な医療の紹介
【肺高血圧症】
肺高血圧症の診断(早期診断のため負荷心エコー検査なども施行可)
薬物治療:各種内服治療に加え、エポプロステノールやトレプロスチニルを用いた持続治療
在宅管理:上記持続治療の在宅移行後の管理
【睡眠呼吸障害】
ポリソムノグラフィーによる診断
適切な陽圧換気療法(CPAPならびにASVを用いた治療)
在宅での上記デバイス管理
4.主な業績:2016.04.01以降
【肺高血圧症】
学会/講演:
◎第12回長野県肺高血圧症フォーラム
◎長岡肺高血圧症フォーラム
◎重症肺高血圧症治療の実際と患者様のケアを考える会 in 太田
◎第1回 肺高血圧肺循環学会学術集会(札幌)
◎肺高血圧講演会 ー新潟ー
◎肺高血圧患者会講演 ーよつ葉の会ー
◎上越肺高血圧症フォーラム
◎肺高血圧症診療のトータルマネージメントを考える会
◎三国峠PAHカンファランス
雑誌:
成人肺高血圧治療の最新トレンド, 臨床麻酔 Vol 40 2016 621-628
【睡眠呼吸障害】
学会/講演:
◎ACC2016(シカゴ)
◎ATS 2016(サンフランシスコ)
◎第4回 青森県睡眠CPAPセミナー
◎ESC 2016(ローマ)
◎第64回 日本心臓病学会学術集会:シンポジウム(東京)
◎第2回みやぎ循環器陽圧換気療法カンファレンス
◎AHA 2016(ニューオリンズ)
◎立川綜合ミニカンファレンス
◎群馬睡眠時呼吸障害研究会 第13回学術集会
◎第81回 日本循環器学会学術集会:ファイアーサイドセミナー(金沢)
◎ASV特別講演会(松本)
受賞/メディア:
◎日本心臓財団・フィリップス心不全陽圧治療研究奨励賞・発表賞(梅山Dr)
◎ラジオNIKKEI 医学講座 循環器疾患における睡眠呼吸障害の重要性